Adobe社がMicrosoftのAzureとクラウド化で提携、Amazonのウェブサービスも継続利用の見込み

AdobeとAzure
阪野 裕二
AdobeはMicrosoftとパートナーシップを結びましたが、Amazon社との契約は打ち切りませんでした。ベンダーロックインから解放されるべく、ビジネスパートナーに対して広い視野を持つ動きがあります。
企業の強みを評価してオープンな付き合いが起こりつつあり、それが求められていくでしょう。
企業を選ぶ際、社風を見るときにも参考になります。

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参照画像:blogs.adobe.com

Adobeは最も人気の高い3つのSaaS(Adobe Marketing Cloud、Adobe Creative CloudとAdobe Document Cloud)でMicrosoftのIaaSクラウドを利用することを決定しました。なお、現在利用しているAmazonのウェブサービス(AWS)も使い続ける予定です。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella氏は、Adobeの最も人気の高い3つのSaaSアプリについて、Microsoft Azure IaaS cloudを利用して運用することを、アトランタで開かれた会議で発表しました。

アナリスト達は、今回のMicrosoftとAdobeの提携によって、複数の領域で2社によってつくられた一大勢力によるパワープレイが行われるであろうという見解を示していました。しかし、Adobe社はAWSとも関わりが多く、Adobeの広報担当者が今後はAWSとAzureの双方を活用する予定であると断言していることからもこのような見解については真剣に考える必要はないと言えそうです。ただし、AdobeとMicrosoftの今回の提携は、クラウド市場全体に大きな影響を与えるダイナミックな動きを引き起こすでしょう。

Adobeは、Adobe Marketing Cloud、Adobe Creative CloudとAdobe Document Cloudについて、MicrosoftのAzureを優先的に利用することで合意しています。つまり、Microsoftがこれらのアプリのインフラを主に提供することになります。
また、マイクロソフト社Microsoftは、Adobe Marketing Cloudを自社のDynamics 365の総合デジタルマーケティングサービスとして優先的に利用するとしています。つまり、2社の間でマーケティングSaaSアプリについて、お互いに提携し合っているという状態です。
プレスリリースでは、「2社は協力してデータ融合を行い、Adobe Marketing CloudとDyamics 365のビジネスアプリ間で人工知能や機械学習、そして高度な分析を駆使して連携し、顧客の円滑な利用を目指しています。」と発表しています。
一部のオブザーバーは、AdobeとMicrosoftの今回の提携は、Microsoftにとって大きな前進になると予測しています。パブリックIaaSクラウドでは、MicrosoftはAWSと熾烈な戦いを繰り広げてきており、直近の3年間では、この2社のみがGartner’s Magic Quadrantのリーダーとして上位に位置づけられてきました。しかし、調査会社であるSynergy Research Groupが調査した結果、AWSはマーケットシェア30%超でトップに位置し、MicrosoftはIaaSやPaaSやプライベートクラウドで10%超となり2位、といったように、いつでもAWSの方がAzureより優位に立っていたのです。
今年の5月にSaaSベンダーのSalesforce.comがインフラ提供会社の中で最も好ましいのはAWSであると発表したことは、Amazonにとって大きな動きでした。それについて、Aragon Researchの主要アナリストであるJim Lundy氏が「MicrosoftもAzureでAmazonよりも優位に立つ何かが必要で、Adobeとの合意でその必要な何かを手に入れることができました。」とTwitterで発言しています。(Nadella氏とAdobeのCEOであるShantanu Narayen氏が提携パートナーシップを発表したビデオクリップに関するJim Lundy氏のツイートをチェックしましょう。)

AWSは継続して利用

MicrosoftはAdobeとのパートナーシップを独占したわけではありません。AWSのケーススタディでは、Adobeのシステム管理サービスでAWSを利用していると述べています。
Adobeの広報担当者は、メールで「我々がAzureをプラットフォームとして選んだ理由は、 市場開拓路線とMarketing CloudとDynamicsとの間の企業協力のメリットに魅力を感じたからです。」と記しています。さらに、「同時に、当社は顧客に選択肢を与え続けたいと思っています。当社はAWSで大きな実績があるので、これから先もAWSを利用し続けるつもりです。」とも述べています。
AWSの広報担当者は次のように付け加えています。「当社はAdobeと長期に渡り良い関係を築いてきました。そして、その重要性は今でも変わりません。彼らの顧客は今でもなお、AWSを使いたいと思っています。その思いにこたえるためには努力を惜しまないのです。」
AdobeがIaaS市場で複数のインフラを利用することにより、双方のプラットフォームを利用する企業にとって興味深い疑問が出てくることでしょう。Constellation researchのHolger Mueller氏のが「企業はどのくらいの規模であればマルチクラウドを活用すべきでしょうか。」というTwitterでの発言がまさにその疑問の1つでしょう。

IaaS で影響力を持つ10社

MicrosoftとAdobeが提携を発表したタイミングも考えてみましょう。MicrosoftとAdobeは、2社の共通のライバル会社であるSalesforceがDreamforceを発表する1週間前に手を組んだ提携することを発表した、とConstellationのAlan Lepofsky氏は指摘しています。

MicrosoftとAdobeはSalesforceとSaaSアプリで競合関係にありますが、SalesforceとMicrosoftはパートナーシップも同時に結んでいます。Salesforceの顧客管理ツールとOffice 365の連絡先は統合されていて、Salesforceは自社のExact Targetのメールビジネスの開発とホスティングプラットフォームにAzureを使っています。
Accentureのグローバルクラウドの担当者であるMichael Lebow氏は、「SaaSのプレイヤー達をいかにクラウドプラットフォームに呼び寄せるかという強奪戦が始まりました。」とツイートしました。Microsoftが結ぶAdobeとSalesforceとのパートナーシップ、そしてCRM市場のSalesforceの競争を巡り、クラウドは確かにいまだかつてない、奇妙とも言える企業どうしの結びつきを築きつつあります。
※「AdobeがMicrosoftのAzureとクラウド化で提携、Amazonのウェブサービスも継続利用の見込み」はNetwork Worldに掲載されました。

※本記事は以下の内容を翻訳・引用しています。
http://www.infoworld.com/article/3124772/cloud-computing/as-adobe-and-microsoft-azure-ink-cloud-partnership-amazon-looms.html